漁師日記〜海へ③〜

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以下の日記は僕が父島で漁師をしていた時につけていた日記です。 せっかくなのでここで紹介します。 その時の状況を後に思い出せるように書いてあるため、無駄に細かい描写が長々と続くことがあります。

途中から読んでも楽しめるようにしてあります。

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「冷凍室の中だ。気をつけて取り出してな。」

この揺れの中で、あの冷凍室に入らなくてはいけないのか。

冷凍室に入るにには3ステップを踏まなくてはいけない。

1.重いフタをあける。

2.買い物かごを移動させる。

3.中フタをあける。

ブリッジのすぐ目の前にあるフタに行く。フタに手をかけ、持ち上げようと中腰に身をかがめる。その時、船が傾き僕の身体は前につんのめってしまった。

顔が床にぶつかりそうになるところを手でかばう。

手を着いた時にすこし突き指のようになってしまったが軽いものだった。

重いフタをあける。船は狭いのでこのフタの置き場所にも困る。とりあえずすぐ横に立てかけるが、揺れで倒れてきて腕を挟みそうになった。

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倒れないような場所にフタを置くと、中には買い物かごに入った食材が置いてある。このカゴもそれなりに重い。

しかも卵が入っているので丁寧に扱わなければ行けない。そっとカゴを持ち上げ移動させるが、揺れに押されて少しぶつけてしまった。卵が割れてなければ良いが…。カゴを移動させた次は中フタ。

フタをあけると、モヤモヤとした水蒸気が立ち上ってくる。海上は特に湿気ているので水蒸気ができやすい。

最後に、中に入らなければいけない。これがとても怖い。なぜなら、激しく揺れるなかで床下1メートル50センチに降りなければ行けないからだ。

冷凍室の絵

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しばらく、入り口と睨み合う。

「おい、生ものが腐っちまうから早くしろよ。」

親方に急かされ、頭を回転させ降りる方法を考える。

思いついた方法はこうだ。中フタを引っ掛ける為にある1センチ弱の”ヘリ”に足をかけ、それから入る。

しかし、これは大変危険ですべってしまえば冷凍室の固い床に叩き付けられる事になる。といっても、それ以外の方法は思いつかないので仕方がない。しかし海はさらに激しくなり始めていて、揺れはさっきよりもひどい。

冷凍室の絵3

激しい揺れのなかでも、少しはましかな?と思えるタイミングを探す。

今だ。と足を出した。

右足の外側を”ヘリ”に引っかける。二・三回「ぐっ」と踏み込み、すべらない事を確認し、この右足に全体重をかけた。左足をそっとあげ、もう片方の”ヘリ”に足をかけようとする。

その時、大きな波が船にぶつかった。それも右足の方向から。

falling-01

押し出されるように、右足が”ヘリ”から外れる。身体が冷凍室に落下していった。

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次→漁師日記〜海へ④〜

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